コトダくんはそう言い、すいっとすわった。
コトダくんは、心の中ではすごく焦ったり、申し訳なく思ったりする。ただ、その心をもう1枚の膜が包んでいて、動揺というか振動をやわらげる。だから、態度に出ない。いや、態度に出すことができない。これがしばしばコトダくんが無礼なやつ、とか空気が読めない、とか思われるゆえんだ
水解蛋白。
コトダくんは「心の動き」と「適切な行動、言葉」の連絡がうまくいかない。小さい頃から自分なりに学んではきた。けれど、人が無条件反射のようにできることがコトダくんは学ばないとできなかった。コトダくんは情報はプロセスできる。そのときもヨウコさんが涙ぐんでいる。2時間以上待たせた。テーブルの上にカズオ・イシグロの本がある。こういった情報から、2時間待たせたことを深く謝るべきだ、けれど泣いているのは自分のせいではなく、本を読んだためだろう、と判断できる。けれどそれをどう行動に出すかのが難しい
嬰兒敏感。
コトダくんは「ごめんなさい。待たせてしまって。カズオ・イシグロの本を読んだんですね。『日の名残り』も読みましたが、この本の方が僕は好きです」と言った。
ヨウコさんは、コトダくんを見た。一見とてもルックスも体格もいい男としてコトダくんは存在していたが、ヨウコさんは、コトダくんがいわゆる平均的思考パターンをしない人間だろうと一瞬にして悟った。そしてとても興味を持った。ボーイフレンド候補にはおそらくならないだろうけれど、友達になれそうだ、と思った。そしてヨウコさんはかなり嬉しくなった
搬學校。